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第1章:序章
あ、出会い系サイトを検索してここにたどり着いた方はさようなら(笑)
出会いがあり別れがある。
さて私も今その局面を迎えようとしている。
この話はそんな汗と涙と鼻汁のストーリーなのだ。
ある日、そのメールは突然舞い込んだ。
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K田です。
知り合いの知り合いがNA8CのVRリミテッド、屋内保管、程度良い車
を売りに出そうと考えているみたいです。
どなたか興味ありますか?
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ぴくっ!!!
このメールを読んだ瞬間、私の心が激しく反応した。
これぞ「びびびっ」と来るという奴なんだろう。
私の愛するロードスター(NA6)。もうすぐ10年を迎えようとしている。
走行距離ももうすぐ13万Kmだ。
この相棒のおかげで得られた車の向き合い方、知識、思い出、そして何より仲間。
間違い無く私の人生に多大なる影響を与えてくれた。かけがえの無い相棒なのだ。
もちろん手離すなんて事は考えても無かった。
しかし、10年13万Kmという数字は乗用車にとって一つの区切りを過ぎた数字。
命であるエンジンも知らず知らずのうちに疲労を重ね、ブッシュなどのゴム部品
の劣化、ボディ全体のきしみ・・・などなど。
さらに以前に不注意でやってしまった事故の影響が少なからず各部への歪みとして
残っており、常にイタワリながら走っていたのも事実だ。
そろそろきちんとリフレッシュしてあげないとな・・・
数十万は掛かるんだろうな・・・そう思ってた矢先であった。
「これは神のお告げなのかっ!?」
そう思うのも無理はなかろう。
とにかくもう少し詳しく話しを聞こう!
そう思った私はK田さんにその旨を伝える返事を送ったのだった。
その間恐らく1分は無かったと記憶してる(笑)第2章:恋
K田さんより返信があった。
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所有者は某自動車メーカーのかなり優秀なエンジニアで、
社内に保管してたらしいけど、某社所有の車両ではなく、
あくまでも私物。
忙しくて乗ってないというのが現状らしい。
走行距離は28000キロ。 とりあえず写真はゲットしました。
VRリミテッドってモスグリーンとタンの内装って予想してたんだけど
これは濃紺だ。
幌も紺。シートがヘッドレストが分割している。
これに白いストライプも似合うと思う。あ、あとゼッケンサークル。(笑)
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最後の行のコメントは素晴らしい。さすがブラザーK田氏。違いの分かる男だ(笑)
やはり濃紺のボディーには白いストライプだな。コブラ風だね。
さて、このメールを読んだ時に最初に浮かんだのはサンプリング用各種センサーを取り付け
オーバルコースを全開テスト走行してるロードスターだった(^^;;
い、いや、そんなことは無いだろう。
きっと大切に大切に乗られてる車両に違い無い。
頼む。そうであってくれぇ(笑)
で、送られてきた写真。
ふむふむ。さすがに塗装が綺麗なのは一見して判断できる。
運転席にRECARO、ボディー横にEibachの文字。
多少手の入った車両に思えた。
さてVRリミテッド?実は後で気付いたのだがVRリミテッドと勘違いした理由はメーターパネル
VRリミ専用のもの(カーボン調で)に交換してあったため、そのパネルに書かれた「VR-Limited」
のマーキングに惑わされてしまったのだった。
しかし、こいつは紛れも無いG-Limitedである。
さて、G-LimitedについてWEBで色々調べてみる。
印象としては限定車としては一番地味(笑)な存在。幌がボディーと同色の紺。
そしてシートがヘッドレスト分離式。
この分離式のシートだけはG-Limitedのオリジナルとなる。
ローバック風シートにも出来るのが渋い。
詳しくはこちらマツダのサイトにて。
とにかく何が魅力的かというとG-Limitedというのは1.8LのSr.1の後期の型なのだ。
これが某FireなHPによると最高だとの事。なるほど納得。
しかも走行距離が少ない事。さらにガレージ保管だという事。
そう・・・迷う事は何もないような状態なのである!
ただちにK田氏に返信。
「そ、それ下さい!!」第3章:幻
さて、早速その車両のオーナー殿の交渉を!!
と行きたいところであるが一応K田氏の当時の勤め先の重要な取引先の方で
しかも、海外出張が多い方という事でなかなか交渉が進まない。
最初の頃は、まぁ今乗ってる車両もあることだしのんびりでも良いかなと
あまり催促もしなかったのだが余りに話が進まない。
「ひょっとして、他の誰かに売ってしまったのか?」
いやな考えが頭に浮かぶ。そこで再度K田氏に連絡。すると・・・
「ごめん。どうにも話が進まない。とりあえず話しをリセットさせて」
まじですかっ!? (号泣)
ま、まぁ、仕方ないよな。K田氏も相手が重要な取引先でしかもボスキャラらしいし。
K田氏に迷惑掛ける訳にもいかん。まぁ、気持ちを切り替えよう・・・。
その日はまるで恋焦がれた女性が遠くに行ってしまった・・・。
そんな気持ちに近い切なさであった。
そんな切ない気持ちと同時に愛車に対する申し訳なさも沸いてきた。
「すまんな。浮気するところだったよ・・・俺にはやっぱりお前しかおらん!」
しかし、舌の根も乾かないウチに新たな展開が起ころうとはこの時は知る由も無かったのである(笑)第4章:ふたたび
あれから一ヵ月後、そのメールはまたも突然やってきた(笑)************************************************
例のロドスタ、また話が復活したみたい。(苦笑)まずはメール見て。
こんにちは、○○○自動車 開発センターのIです。
表記の件、大変遅くなりましたが、車両仕様などをご連絡致します。
よろしければお譲りしますので、お知り合いの方にお伝えください。
<車両のご説明>
グレード :G-Limited (1500台限定車、1800cc)
年式 :平成7年3月(ワンオーナー)
走行距離:29000km
外板色 :サテライト・ブルー・マイカ(幌も同色、G-Limited専用色)
主要装備:アルカンターラ(人工スウェード)シート(G-Limited専用装備)
モモ社製革巻小径ステアリングホイール(G-Limited専用装備)
ラジカセ+4スピーカー(トゥイータ付き)(G-Limited専用装備)
アイバッハ社製マツダスピード純正ローダウンスプリング
マツダスピード純正サスペンションブッシュ
7年間、自宅でも会社駐車場でも屋根のあるスペースに駐車していた為
ボデーの艶は良い方だと思います。
エンジンオイルとフィルターは4000km毎に交換してきました。
ミッションオイルとデフオイルは10000km毎に交換しました。
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あぁ・・・惚れ直し。やっぱ欲しいよこれ。
これだけの上物は手に入れたくてもなかなか手に入れられない。
出元は保証されてるし、個人売買といっても安心できる。
そしてこの後はとんとん拍子で話が進み試乗会へと進むのであった。
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